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会 長 挨 拶

日本肺サーファクタント・界面医学会第59回学術研究会
会長 千葉 弘文
(札幌医科大学医学部 呼吸器・アレルギー内科学 講座 教授)

この度、日本肺サーファクタント・界面医学会 第59回学術研究会を担当いたします。諸先輩の積み上げてこられた伝統の一端を携わらせていただきますこと、大変光栄に思います。
本学会は1969年に「肺表面活性研究懇話会」として発足し、1975年に日本学術会議への登録を経て「日本界面医学会」へと発展しました。物理化学、生化学、形態学などの基礎医学から小児科、産婦人科、呼吸器内科をはじめとする臨床医学まで、広い領域の研究者が集まり、画期的研究を世界に発信し続けています。岩手医科大学 藤原哲郎教授らによる人工肺サーファクタント補充療法は、新生児死亡を低減することに世界で貢献してきました。私ども札幌医科大学では、私の医学研究の師でもある黒木由夫先生らが血中サーファクタント-A、-D測定法を開発しました。現在、間質性肺疾患の血清バイオマーカーとして、広く臨床応用されています。私も大学院生として研究に携わる縁をいただき、基礎研究が臨床に応用されるプロセスを学ぶ機会となりました。2007年には、研究内容の主流が「界面活性」からサーファクタント蛋白質、分子細胞生物学へとシフトして行く過程で、学会名称が現在の「日本肺サーファクタント・界面医学会」へと変更されています。
第59回学術研究会のテーマは『肺の生体防御機構について考える』としました。世界を震撼させたパンデミックCOVID-19は、人類をピンチに陥れました。しかし、それは生存に必須な肺の生体防御について再考するチャンスでもあると思います。肺では獲得免疫が機能するまでの時間を埋める自然免疫が発達しています。私どもが研究してきた肺サーファクタント蛋白質もその一翼を担っています。
本学術研究会では、基礎から臨床まで広い領域の研究者が集まり、肺の生体防御について意義ある意見交換の場となるよう努めたいと思います。ご協力のほど何卒よろしくお願いいたします。