The 42nd Annual Meeting of the Japanese Society for Morita Therapy

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大会長挨拶

森田療法から「森田」が消える日まで
―世界標準の普遍的精神療法の確立を目指して―

札幌医科大学医学部神経精神医学講座の田所重紀と申します。この度、2025年10月3日(金)から5日(日)の日程で、札幌コンベンションセンターにて、第42回日本森田療法学会を開催させて頂くことになりました。森田療法が最も盛んな地域の一つであるここ北海道で開催できることを、大変嬉しく光栄に思っている次第です。
 森田療法は、人間の苦悩に関する真理に基づいて創出された精神療法です。言うまでもなく、今から1世紀以上前に我が国の精神科医・森田正馬によってこうした精神療法が創始されたという歴史的事実は、単なる偶然に過ぎません。事実は唯、我が国の偉大な先人がそのような真理を見出し、それに基づいて効果的な精神療法を創始した、ということ以上でも以下でもありません。その一方で、森田先生が苦心の末に辿り着いた人間の苦悩に関する洞察が真理である以上、それに基づいて創出された精神療法は、我が国の特定の性格傾向の人だけに有効なものであるはずがなく、人種、地域、時代を超え、苦悩を抱えるあらゆる人に有効であるはずです。すなわち、森田療法がメンタルヘルス不調を含む様々な精神疾患を有する方に有効であり、精神科診療の枠組みを超えて様々な臨床場面で活用されているという事実は、その基礎にある人間の苦悩に関する洞察が真理であるということの必然的帰結なのです。
 今や森田療法に関心をもつ方々は、精神科医、心理士、精神科看護師、精神保健福祉士、作業療法士といったメンタルヘルス専門職にとどまらず、神経症を抱えた当事者や教育関係者にまで広がっております。森田療法の実践や研究に携わる方々は皆、職種や立場を超えて、森田療法の普遍的価値を信じているはずです。我が国で最も開かれた地域であるここ北海道で開催される第42回大会は、職種、立場、ベテラン/若手を問わず、森田療法の普遍的価値を信じる人々が集い、その価値について共感し合い、その成果を世界に発信する絶好の機会になるものと信じております。本大会が、森田療法が世界標準の普遍的な心理的介入法および教育法へと発展するための一里塚となることを願ってやみません。
末筆ながら、多くの皆様のご参加をお待ち申し上げております。

第42回日本森田療法学会
大会長 田所 重紀
会長